研究課題
基盤研究(C)
時間分解共鳴軟X線散乱を用いて遷移金属酸化物Ba3CuSb2O9のスピンと軌道のゆらぎのダイナミクスを研究した。O 1s吸収端のX線吸収を用いて、低温で量子スピン軌道液体状態が実現する六方晶のBa3CuSb2O9において酸素ホールを起源とするピーク構造を観測した。さらに、Cu L3吸収端を用いた時間分解型の共鳴軟X散乱測定を用いて、その光誘起ダイナミクス上に6GHz程度と比較的周期の長いコヒーレント振動を観測した。このコヒーレント振動は、酸素ホールを含まない斜方晶試料では観測されず、試料内の酸素ホールの有無、すなわち量子スピン軌道液体状態と密接に結びついていることを見出した。
一般の遷移金属化合物の単一サイトの光学フォノンモードはフェムト秒のオーダーであるため、今までのピコ秒領域の時間分解能のX線散乱などの測定では、コヒーレント振動がほとんど観測されることがなかった。量子スピン軌道液体状態が低温で実現するBa3CuSb2O9は複数のCuサイトの自由度が競合する系であり、放射光X線を用いた時間分解型の共鳴軟X線散乱のダイナミクス測定という最先端の手法を用いて、その軌道-スピン揺らぎの状態と密接に関連する数10ps領域のコヒーレントフォノンを観測することに初めて成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 8件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
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