研究課題/領域番号 |
18K03630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
鳥居 隆 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (00360199)
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研究分担者 |
真貝 寿明 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (30267405)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 修正重力理論 / 高次元時空 / ディラトン場 / 非線形ダイナミクス / 重力波 |
研究実績の概要 |
本研究は修正重力理論として超弦理論から導出される高次曲率項を含んだ理論(Gauss-Bonnet重力理論およびdilaton場を含んだ理論)において,解析的および数値的手法を駆使して非線形ダイナミクスの一端を明らかにし,理論や時空次元による定性的・定量的違いを評価することを目的としている。そのために (A)モデルの定式化と数値コードの開発を行い,具体的な物理現象として (B)ブラックホールと時空特異点 (C)重力波伝播 (D)宇宙進化モデルを調べる。 2023年度(令和5年度)は,dilaton場を含むGauss-Bonnet重力理論と一般化されたHorndeski理論のN+1分解のコード開発 (A) を継続している。(B)では高次曲率項を含んだ理論において加速するブラックホールの特異点の性質を電磁場を入れた系に拡張して調べた。また,同じシステムでワームホール時空の解を発見し,その性質を調べた。この解は加速するワームホールを表し,それはタイムマシンの構築に欠かせないもので,本研究において世界で初めて得られた解である。時空の本質的な性質を明らかにする上で非常に重要な研究結果と言える。また,より拡張したRobinson-Trautman時空では方程式系がRicci流の形に表すことを示した。(C)では引き続き,観測される重力波と理論を比較できるよう解析を進めた。共同研究者の真貝が参加している重力波国際共同研究で日本の大型低温重力波望遠鏡KAGRAも本格的に動き出し,日本における重力波の初検出,そしてLIGO-VIRGOとのコラボレーションによる成果が期待される。 アウトリーチ活動や教育活動では,市民講座も継続し,研究分担者の真貝も宇宙研究の解説記事を出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析的な理論計算に関しては新たな視点からの解析結果も得られ,概ね当初の予定どおりに研究が進んでいる。一方,コード開発では依然として遅れが生じている。ディラトン場(スカラー場)が入った超重力理論でブラックホールやワームホールなどのコンパクト天体について,新たな解が得られ,それらが興味深い性質を持っていることを示せたことにより,その方面での研究が大幅に進んだ。これらを利用しながらコード作成では光伝播座標において特性を生かし,同時に別の手法を考案しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
Gauss-Bonnet項とdilaton場を含んだ重力理論において,ブラックホール解やワームホール解と時空特異点は豊富な物理学的内容を含むことを示すことができた。そこで,今度は電磁場を含む系や異なるスカラー場のポテンシャル関数を用いたより詳しく解析を行う。また,こうした系での加速するコンパクト天体の解は初めて得られたので,その応用を考察する。コード開発では光伝播座標を曲率高次項の振る舞いを精査しながら,特性を生かした数値コード開発を進めていく。社会へのフィードバックとして,引き続き理科教育分野における発信を行なっていく。PBL型授業の実践,天文教育など,手法の開発と報告など行う。
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