研究課題/領域番号 |
18K03637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石橋 延幸 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70211729)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 超弦理論 / 弦の場の理論 / 弦理論 |
研究実績の概要 |
世界面上に定義できるStrebel differentialと呼ばれる2次微分形式を用いて弦の場の理論を構築する方法を提案した。この方法においては、弦の場の理論はフォッカー・プランク形式と呼ばれる形式で記述される。この方法は昨年度提案した弦の世界面に定義される双曲計量を用いて弦の場の理論を構築する方法を拡張したものである。 フォッカー・プランクハミルトニアンは弦の場の運動項と3つの弦が関わる相互作用項のみから構成される非常に簡単な形をしている。ただし、運動項は通常の弦の場の理論とは全く違う形をしている。また、この弦の場の理論から導き出されるファインマングラフは、弦の局所的相互作用の形をしており、弦のプロパゲータを含んでいないように見える。このように、この弦の場の理論は非常に特異な理論になっている。 Strebel differentialは、数学においてリーマン面のモジュライ空間を研究する際に非常に有用な道具となっている。弦の場の理論においても、Strebel differentialを用いた定式化が作られていたが、今回のものはそれとはあらゆる面において非常に異なったものになっている。また、最近活発に研究されているAdS_3/CFT_2対応におけるtensionless極限においても、Strebel differentialが重要な役割を果たすのではないかと期待されている。これらのことから、我々の構築した弦の場の理論は、上記の特異な性質にもかかわらず、いろいろな点で発展する可能性を秘めていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォッカープランク形式の弦の場の理論を拡張することにより、最近活発に研究されているAdS_3/CFT_2対応との関連が明らかになってきた。この発展は、当初は予想していなかったものであり、本来の目標である超弦理論の場の理論の構築にも寄与すると考えられる。これらの進展を考えると、研究はおおむね順調であるといってよいと思う。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のような研究を推進していく: 1.超弦の場の理論:超弦の場の理論を構築するためには、spurious singularityと呼ばれる問題を克服する必要がある。双曲計量を用いた場の理論では、Type 0と呼ばれる種類の超弦理論に関してはこの問題を克服できる。これをType II, heterotic理論に拡張することが今後の課題であるが、これは数学の発展を待たなければならない。もう一つの方向は、hybrid形式を用いることである。hybrid形式は、最近活発に研究されているAdS_3/CFT_2対応の研究でも用いられており、spurious singularityの問題を回避することができるのではないかと期待される。hybrid形式の超弦理論に関して我々の弦の場の理論を構築する。 2.非臨界次元の弦の場の理論:我々の弦の場の理論を非臨界次元の場合に考える。このような弦の場の理論は、AdS_3/CFT_2対応の研究とも関連するのではないかと期待される。
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