研究課題/領域番号 |
18K03741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 敏隆 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (30115886)
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研究分担者 |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 特定研究員 (80390590)
橋口 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (90293943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2018年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | RASS / 気温プロファイル / 赤道大気レーダー(EAR) / ウィンドプロファイラー / 熱帯大気 / 対流界面 / GPS電波掩蔽 / 上部対流圏・下部成層圏(UTLS) / 対流圏界面 / 赤道大気レーダー(EAR) / 赤道大気レーダー(EAR) |
研究実績の概要 |
本研究は、熱帯域の対流圏および成層圏下部における気温と水蒸気量の構造と時間・高度変動を解明することを目的としている。リモートセンシング手法として、赤道大気レーダー(EAR)によるRASS(Radio Acoustic Sounding System)実験、ならびに衛星によるGNSS電波掩蔽観測を対象とした。さらに、EAR観測所において実施された気球観測(ラジオゾンデ)のデータも用いた。特に、2005年11-12月のキャンペーンでは3台の装置を用いて1時間間隔で放球することで世界的にもユニークな時間連続データが得られている。本年度は、これらのアーカイブデータを活用して、リモートセンシングに共通する重要なパラメータである電波屈折率(n)について、インドネシア研究革新庁(BRIN)の若手研究者と共同研究を進めた。
ここで、n は気温、大気圧および水蒸気量に依存し、その高度勾配(dn / dz)はレーダーエコー強度に関係する。対流圏下層(高度約10km以下)では一般にdn / dzは負の値を示すが、水蒸気の高度変化に伴い正値となるケースがあるに着目し、符号分布を統計的に分析した。その結果をもとに、水蒸気の高度分布をEAR-RASSにより測定する技術の開発を進めた。一方、成層圏(高度約15㎞以上)では、GNSS電波掩蔽法で得られる基本観測量である電波屈折角と1/n・dn/dzの相関関係を精査し、新たな観測手法の開発を検討した。
なお、2019年に起こった雷害に伴いレーダー制御機能の一部に不具合が生じていた赤道大気レーダーの機能維持のための変復調装置用カードを整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の前半に再び新型コロナ禍の状況が悪化したため、インドネシアに出張して行うフィールド実験の具体的計画が立案しにくくなった。一方、EARが2019年に起こった雷害により安定運用が困難になっており、その機能改善のために装置の一部について整備を進めたが、年度内に整備が完了しない見込みとなった。以上の理由でEAR-RASS実験を次年度に先送りすることとした。研究実施概要で述べた通り、アーカイブされた過去のEAR-RASSデータおよびGNSS電波掩蔽観測データを用いた研究は進んでいるが、本研究の主題であるEAR-RASS観測の実行は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者はMUレーダー等を用いたRASSによる気温測定をもとに、水蒸気プロファイルを推定する手法を既に開発している。これは、大気乱流によるレーダーエコー強度が電波屈折率(n)の高度勾配(dn/dz)の自乗に比例すること、同時にRASSによりnの基本要素である気温が精密測定できることに依拠している。ただし、dn/dzの符号を判定する手法に問題点が残っていた。本年度は、近年進展が目覚ましい統計的手法(機械学習)を活用した符号判定手法をアルゴリズムに組み込む改善を試みている。既に過去のEAR-RASSおよびラジオゾンデのアーカイブデータを用いて、水蒸気推定手法の改良を進めており、2023年度には実際にEAR-RASS実験でその成果を実証することを目指す。最終的に研究成果をインドネシア研究革新庁(BRIN)との共同研究として論文公表することを計画している。
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