研究課題
基盤研究(C)
夏季に数多く発生する積雲の中から強雨をもたらす積乱雲が発生する過程はよくわかっていない。そこで、雲の3次元分布を観測できる二重偏波雲レーダーを用いて、発生期・発達初期の観測を行った。晴天エコーと雲・降水エコーを識別する方法を開発したのち、ほぼ同じ時間・場所で発生した発達度の異なる2つのエコー域を比較した。発達したエコー域は、内部のエコー極大域の数が多く、発達初期から水平スケールが大きかった。水平スケールが大きいことで、雲外部との混合が起こりにくく、発達が阻害されにくくなると推測された。
夏季に強雨をもたらす積乱雲の発生場所・時間を前もって予測することは難しい。本研究では夏季に数多く発生する積雲の中から強雨をもたらす積乱雲に発達する一つの過程が明らかにされた。このことは、発達する雲と発達しない雲の違いを明らかにし、強雨の直前予測に寄与することが期待できる。また、レーダーの偏波機能を利用して、目的としない晴天エコー域を識別し、晴天エコーと雲・降水エコーが混在する中から目的とする雲・降水エコーを抽出する方法を示した。
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