研究課題
基盤研究(C)
北西インドUttarakhand地域における高ヒマラヤ帯の沈み込みと上昇開始の時期を明確にした。ネパール地域では、高ヒマラヤ帯内部の漸新世の逆断層や黒雲母脱水反応による部分溶融が変成岩上昇に大きな役割を果たすが、北西インドでは、これらの漸新世の逆断層や高温の部分溶融は認識されなかった。代わりに、高ヒマラヤ帯内部では中新世初期の正断層運動や流体の関与する部分溶融が変成岩上昇に大きく寄与しており、ネパール地域との相違が明らかになった。また、北西インドラダック地域の超高圧変成岩類の地質調査や岩石学的研究から、エクロジャイトが部分溶融を被ったことの直接的な証拠を得た。
本研究によって、中央~西ヒマラヤ地域(ネパール、北東インド、ブータン)と東ヒマラヤ地域(北西インド)の地域的な地質や変成岩上昇テクトニクスの違いが明確になった。ヒマラヤ造山帯は、北から南へ向かって大きく地質構造が異なるため、南北方向の変成作用の違い(逆転温度構造)や部分溶融の影響について多くの研究がなされてきた。一方で、東西方向の変成作用や部分溶融の相違についての研究例は多くなく、本研究における学術的意義は高い。部分溶融やそれに伴う花崗岩形成に伴ってレアメタルやペグマタイト鉱床が生成される場合があり、その成因論の解明は社会的にも意義がある。
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