研究課題/領域番号 |
18K03801
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺川 寿子 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30451826)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 応力 / 間隙流体圧 / 地震のメカニズム解 / インバージョン解析 / ABIC / 断層強度 / 地震 / 絶対応力 / 弾性歪エネルギー |
研究実績の概要 |
本課題は,地震のメカニズム解から地殻の絶対応力場を推定する独自の手法を開発し(Terakawa and Hauksson, 2018),日本列島域の絶対応力場を理解することを目指すものである.2020年度は,2016年熊本地震震源域の絶対応力場の推定の一環として,まず,良質な地震メカニズム解のデータセット(データ数:2516個,期間:1996年1月1日~2016年4月13日,カタログ:Matsumoto et al., 2018, F-net モーメントテンソルカタログ,地震の規模:M > 1)から,CMTデータインバージョン法(Terakawa and Matsu'ura, 2008, Terakawa, 2017)により九州地域の背景応力場(地震発生前の応力場)のパターンを推定誤差と共に求めた.九州地方の応力場は,南北方向に最小圧縮軸を持つ横ずれ断層~正断層型の応力場であり,良質なデータセットから精度良く応力場を推定することができた.また,CMTデータインバージョン法を用いることで,応力場のパターンが3次元空間内の連続関数として得られたことが,本課題の遂行において本質的に重要となる. 次に,Asano & Iwata (2016)による滑りモデルから熊本地震による応力変動分を計算した.これは,絶対応力場を推定するために必要不可欠なデータとなる.更に,本課題に関連するテーマとして,地震のメカニズム解から間隙流体圧場を推定する独自の手法(Terakawa et al., 2010)を用いて,熊本地震震源周辺域の間隙流体圧場を推定した.これらの結果に基づき,熊本地震前後の地震活動度の変化における応力と間隙流体圧の役割についても調べた(Nakagomi et al. 2021).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熊本地震震源域周辺の絶対応力場を推定するための準備をしつつ,本課題に深くかかわるテーマである「熊本地震前後の地震活動度の変化における応力と間隙流体圧の役割」(Nakagomiet al. 2020,寺川は責任著者)と「直接的先験情報を考慮したCMTデータインバージョン法の改良」(Terakawa and Matsu'ura, in prep.)を並行して実施したため,これらに時間がかかった.また,熊本地震の震源断層は鉛直面からずれており(傾斜角は65~72度),震源断層のごく近傍の応力変化を計算する点において,これまでに本研究で実施済みのランダース地震に比べて困難があった.これらの2点から,絶対応力場の推定そのものまで到達できなかった.しかし,絶対応力場の推定に必要な背景応力場と応力変化の計算は概ね結果が得られており,これらをもとに,熊本地震震源域の絶対応力場の推定は実現するものと思われる.
|
今後の研究の推進方策 |
本課題で開発中の手法(地震のメカニズム解から地殻の絶対応力場を推定する手法)により,パラメータである基準間隙流体圧を0.1,0.3,0.6と仮定し,熊本地震震源周辺域の絶対応力場を3ケース計算する.また,熊本地震による応力変化については,断層面から1km以上離れた場所での値の計算は実施済みであるため,断層面上(実際には,500m離れたところ)の応力変化を計算する予定である.これらの結果を合わせ,熊本地震前後の弾性歪エネルギーの変化が計算できる.これらのエネルギー変化に基づき,絶対応力場を推定する予定である.
|