研究課題/領域番号 |
18K03928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 満 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (20281115)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 気泡 / 一様せん断乱流 / 揚力 / 渦構造 |
研究実績の概要 |
2019年度は,気泡の等価直径が約0.5mm,1mm,5mm の3つの場合を対象に,気泡界面の変形を考慮した数値シミュレーションを実施し,上昇気泡の一様せん断乱流中での運動を調べた. 直径約 0.5mm の気泡に関しては,前年度は界面が汚染された気泡の計算を行ったが,2019年度は純水中の気泡を想定した計算を実施した.その結果,乱流中の上昇気泡の水平移動は,汚染された気泡の場合と同様に,層流中のそれとは逆方向であることがわかった.また,乱流中での気泡の平均水平速度は,汚染された気泡に比べて高速であることが明らかとなった.これらの結果は,30th International Symposium on Transport Phenomena (ISTP30) で発表した. 直径約 1mm の気泡に関しては,人為的に界面張力を弱めた計算も行い,気泡の変形度と気泡の水平移動の関係についても調べている.前年度には,乱流の効果により気泡の平均水平速度の絶対値が低下することが判明したが,それが気泡の後流渦と乱流との相互作用によるものであることが判明した.また,平均揚力係数の絶対値も乱流の影響で減少することが明らかとなった.これらの結果は,第7回アジア計算熱流体シンポジウムにおいて発表した. 等価直径 5mm の気泡に関しては,単一気泡のせん断流における運動を調べた.1mm程度の気泡の場合と比較して,気泡周辺には複雑な渦構造が形成され,気泡の揺動運動も複雑化することがわかった.また,1mm程度の気泡の場合と同様に,乱流中では層流中と比較して揚力係数の絶対値が減少することがわかった.これらの結果は,10th International Symposium on Turbulence, Heat and Mass Transferで発表の予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,せん断流中の上昇気泡の水平移動に対する乱流の影響の全容解明を目指している.補助事業期間において解明を目指す具体的な内容は,(a)乱流の影響により気泡の水平移動の向きは反転するか,(b)気泡の水平移動に対して渦構造が果たす役割,(c)乱流中での気泡変形・界面汚染度と気泡水平移動との関係,である.解析対象は,計算機能力の限界を考慮して,(1) 汚染された水中の直径0.5mmの空気気泡,(2) 純水中の直径1mmの空気気泡,(3) 純水中の直径5mmの空気気泡,に設定している. 現在までの進捗状況は,以下の通りである. (1)に関しては,目標通りに (a)「乱流による水平移動方向の反転」を確認し,(b)「渦構造が果たす役割」を解明することができた.さらに,(c)と関連して,純水中の直径0.5mmの気泡についても新たな結果を得ており,順調に進展していると言える.(2)に関しては,(c)「乱流中での気泡変形と気泡水平移動との関係」に関して新たな知見が得られている.また,(b)の渦構造が果たす役割に関して新たな知見を得ることができたので,おおむね順調に進展していると言える.(3)に関しては,レイノルズ数の高い気泡に対しても乱流の影響が顕著に現れることを明らかにし,(b)の渦構造と気泡水平移動との関係についても明らかになりつつある. 現時点では,連続相液体の粘性を水よりも高めに設定している((1)の場合で1.6倍,(3)の場合で3.5倍).また,せん断率が比較的高い場合に計算を限定している.空気・水の系でより低いせん断率の計算を行うことが今後の課題として残っている.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」の(1)に関しては,純水中の直径0.5mmの気泡について,汚染された気泡の場合と比較して,乱流による水平移動方向の反転がより顕著であることが判明しているが,そのメカニズムについて,気泡と渦構造の相互作用に着目しながら詳しく調べる予定である.(2)に関しては,気泡の水平移動と渦構造の関係についてある程度明らかとなったので,それが乱流全体の発達に与える影響について調べる.(3)の純水中の直径5mmの空気気泡に関しては,乱流強度と気泡水平移動との関係についてさらに詳しく調べる予定である.また,実際の水空気の系により近い状況を再現できるように,数値計算手法の改良にも取組む(現在3種の計算手法に関して改良・計算高速化に取り組んでいる).(3)に関して得られた結果は,2020年7月開催の国際会議で発表の予定であったが,新型コロナウィルスの影響で1年延期された.状況に応じて,結果の発表の仕方を見直す予定である. 上述の(1)と(3)の場合には,これまでに実施した計算はせん断率が比較的高い場合に限定されている.これは,既存の方法では,低いせん断率において乱流を維持するには,非常に大規模な計算が必要なためである.高効率な計算手法の開発ともに,低いせん断率で乱流を維持する新たな方法についても検討する.
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