研究課題
基盤研究(C)
一般に物質による水素吸蔵の評価法は容量法と呼ばれる水素圧力をモニターする手法が採用されることが多い。本研究では容量法が適用できない環境、例えば極低温下や微量の試料の場合などで水素吸蔵特性が評価可能な手法を確立することを目的に水晶振動子マイクロバランスを採用して手法の確立を目指した。結果、試料マウント方法に若干の検討課題が残るものの、近い将来、十分に利用可能なレベルまで到達することができた。また並行して実施したin situによる水素誘起物性の研究では、パラジウム水素系における水素吸蔵に伴う電子状態、延いては磁性、超伝導状態に関する極めて重要な知見を得ることに成功した。
水素社会の実現に向けては、もちろん我々が生活する室温領域で有効に動作する水素デバイスの開発が重要であることは間違いありません。しかしながら物性の本質を見ようとする場合、室温では温度が高すぎる場合あり、我々は特に低温における水素吸蔵特性の評価から本質を探ろうといスタンスで研究を進めています。高温では隠されている物性が材料開発の鍵を見出す可能性を本研究は秘めています。また、本研究で実施した極低温領域における金属水素化物の超伝導に関する研究は、人類の夢である室温超伝導実現に向けた知見を得る可能性を内包しており、学術的にも社会的に意義深い重要な研究課題であると考えられます。
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