研究課題
基盤研究(C)
有機材料では特有のしなやかさ、スプレー塗布可能性などの液状化によるコストの抑制など無機材料では成し得ない特性が注目されている。有機半導体材料では光を照射することにより励起子が生成する。励起子の緩和ダイナミクスとして、数fs~psの時間スケールで電子・正孔対の電荷再結合または電荷分離が起こる。この電荷分離過程の分岐比が光電変換の効率を主に支配する。また電子遷移の余剰エネルギーが核の振動に散逸されると、光電変換効率は低下する。このような有機半導体における光励起初期過程の詳細を明らかにするために、本研究では超短パルスレーザーを用いた過渡光電流分光システムの開発を行なった。
本研究では可視超短パルスレーザーを用いた過渡光電流分光システムの開発を行なった。それをDTDCPB、C70をそれぞれアクセプター、ドナーとした有機薄膜太陽電池デバイスに適応した。その結果過渡光電流信号に480cm-1の分子振動が変調として現れることが明らかとなった。この振動モードはDTDCPB内のベンゼン環の面外偏角振動モードでありC70に近づこうとするモードである。このように光電流の効率化あるいは損失と関係する分子振動モードを特定することによって、より光電変換効率の高い新規材料の合成に対する指針を提示することができる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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