研究課題/領域番号 |
18K05358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
坂本 寛 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70309748)
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研究分担者 |
平 順一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (20549612)
森本 雄祐 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50631777)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヘム / センサー / プローブ / FRET / イメージング / 酵素 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
ヘムは生体に必須の色素であり,一部のヘムは細胞内で遊離ヘムとして存在する。遊離ヘムは生体に様々な影響を与えることが知られており,高濃度域では疾患の原因となることが明らかにされている。これまでに,ヘム分解系酵素であるヘムオキシゲナーゼ1(HO1)とNADPHシトクロムP450還元酵素のopen型変異体(ΔTGEE)にそれぞれ緑色蛍光蛋白質の変異体である青色蛍光蛋白質(CFP)と黄色蛍光蛋白質(YFP)を修飾した,蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく一分子型バイオセンサーCFP-HO1-ΔTGEE-YFPを開発した。このセンサーでは,HO1に結合したヘムにCFPの蛍光エネルギーが吸収される可能性があること,蛋白質間相互作用によらないFRETが生じている可能性があること,分子量が大きく可溶化しにくいことが問題であった。今年度は,これらの課題を解決するためにCFPとYFPの修飾位置を交換し,さらにHO1-ΔTGEE間のリンカーを欠損させた二分子型FRETバイオセンサーYFP-HO1/ΔTGEE-CFPを開発することとした。 YFP-HO1およびΔTGEE-CFPをそれぞれ大腸菌発現系を用いて発現・単離した。50 nMのYFP-HO1とΔTGEE-CFPの混合溶液にCFPの励起光(385 nm)を照射し,ヘムを0から75 nMまで添加しながら蛍光スペクトルを測定したところ,YFPの蛍光(525 nm)の上昇が見られ,FRETが観測された。ヘム濃度に対しFRETシグナルの強度変化をプロットした結合曲線より,2.2 nMの解離定数が算出された。また,沈降平衡法を用いた超遠心分析により,ヘム結合型YFP-HO1とΔTGEE-CFPが複合体を形成することが確認された。これらのことより,YFP-HO1とΔTGEE-CFPは,二分子間FRETヘムセンサーとして機能することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発した二分子型FRETバイオセンサーは,分子量が減少したことにより収量が一分子型よりも向上した。また,蛋白質間相互作用によらないFRETも低減された。さらに,励起波長を385 nmとすることでFRETを観察することができ,ヘムをnMオーダーで検出できることが示唆された。しかし,当初予定した一分子型FRETバイオセンサーはその溶解性の低さから安定に発現・精製する方法がまだ確立できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内に二分子型FRETバイオセンサーを導入した場合の問題点として,細胞内でのセンサー発現量コントロールが困難であることが考えられる。この課題に対しては,発現比の考慮が必要ない一分子型バイオセンサーの適用が有効であると考えられる。今後,一分子型バイオセンサーの可溶性向上や,HO1-ΔTGEE間のリンカーについて検討を重ね,細胞内導入を目指し研究を進める予定である。
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