研究課題
基盤研究(C)
熱帯のダイズ根粒菌の多様性を評価する目的で、フィリピン11地点の土壌から根粒菌を分離し、解析を行った。全分離株はBradyrhizobium属根粒菌に分類された。その分布と群集構造に影響する環境因子は湛水であり、土壌理化学性が続いた。結果、非湛水土壌にはB. elkanii が、湛水土壌にはB. diazoefficiens, B. japonicum が優占した。分離株の窒素固定活性を測定した結果、フィリピンの栽培環境で有用根粒菌として期待される根粒菌を見出した。また、塩ストレス下における根粒菌の共生能を検証した結果、Sinorhizobium属根粒菌の塩ストレス下における優占化を示した。
現在、地球温暖化が進む中、熱帯に土着化している土壌微生物を解析することは将来の日本の農業にとっても重要な知見になる。本研究においては、ダイズと共生窒素固定を行う根粒菌について、多様性と群集構造に関して研究を行った。特にフィリピンは日本と同じ島嶼国であり、高度により温帯から熱帯気候が分布しており、温暖化の進行に伴う土壌環境を解析する研究フィールドとして適していると考えられる。本研究成果は、日本本土から南西諸島、フィリピンと根粒菌の多様性を検出し、その群集構造は緯度による差と土壌の利用形態によって遷移することを示した。温帯から熱帯地域における共生窒素固定利用について基盤となる成果である。
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