研究課題
基盤研究(C)
微生物を用いた物質生産では、目的物の収量が最大化する条件探索(最適化)が行われるが、目的生成物の定量に多くの時間と労力を要するため、最適化の律速段階となっている。本研究では、菌体内で生成された目的生成物の量に応じて発光するアルデヒドセンサー大腸菌を開発し、外部から培養液の発光量を測定することで、非侵襲的、かつ、ハイスループットに目的生成物の量を評価できる系の開発を進めた。次世代燃料の前駆体、医薬品原薬や香料となるアルデヒドに対する発光を確認し、アルデヒドセンサー大腸菌の可能性を実証したが、その実用化のためには、センサー蛋白質の高感度(高発光)化が必要であることが示唆された。
生体は香料など有用なアルデヒドを生成する一方、酸化ストレスにより有害なアルデヒド(酸化ストレスマーカー)も生成する。こうしたアルデヒドは、反応性が高く不安定であるため、生体内での検出は難しい。本研究で開発するアルデヒドセンサーは、センタータンパク質が生体内のアルデヒドを直接基質として発光するため、非侵襲的、かつ、リアルタイムにアルデヒドの存在を検出できる。そのため、アルデヒドとその誘導体のバイオ生産において、生産プロセスの最適化や酵素改変研究を飛躍的に加速できるだけでなく、生体内での酸化ストレスマーカーの時空間的観測を可能にし、酸化ストレスと病態進行の関係を明らかにするツールとして期待できる。
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