研究課題
基盤研究(C)
微生物にとって飢餓は致命的なストレスだが、栄養過剰もまた寿命短縮などの害をもたらす。出芽酵母の2つのトリプトファン輸送体のうち、低親和性型Tat1は細胞外トリプトファン濃度に依存せず細胞膜に局在した。一方、高親和性型Tat2は低濃度トリプトファン条件下では細胞膜に局在するが、高濃度で基質を投与すると速やかに分解された。Tat2の細胞質ドメインにおけるacidic patchの変異D74R体では、分解が著しく抑制された。よって基質輸送に伴う動的構造変化がacidic patchを含む細胞質ドメインを露出させ、ユビキチン化による自己分解を誘発するものと考えられる。
トリプトファンの動態は、細胞内NAD+の調節、トリプトフォールやセロトニンなど細胞間伝達物質の合成、ヒトではトリプトファン輸送体MCT10が甲状腺ホルモンの輸送を担うなど、他のアミノ酸にはないユニークさがある。またトリプトファンは希少なアミノ酸であるうえ、ヒトの必須アミノ酸でもある。よって低濃度トリプトファン条件下における取り込みと、それとは逆に基質過剰時の取り込み抑制が特に重要だ。本研究で得られた成果は、酵母のトリプトファン輸送体Tat2が広範な生物種におけるトリプトファン制御のモデルとなることを示すとともに、1タンパク質分子がシグナルの受容と伝達を同時に担うユニークな側面を映し出している。
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