研究課題
基盤研究(C)
PRMT8は、メチル化酵素活性(MTase)に加え、リン脂質分解酵素活性(PLase)を有する。本研究では、PRMT8が持つ一酵素二活性の生物学的意義の解明するため、各酵素活性の特異的不活性マウスを樹立し、これらのマウスが新しい環境下で過活動を示していることを見出した。また、未知であったMTase活性に対する内因性基質の探索により、神経細胞の細胞骨格を構成するタンパク質を同定した。さらに、大脳・小脳を用いたRNA-Seqの解析を行った結果、PRMT8遺伝子の欠失によって、小脳では行動制御に重要な神経伝達物質を調節する遺伝子の発現変化が遺伝子オントロジー解析によって明らかとなった。
本研究により、生体内におけるPRMT8の多機能を解析することは、複雑かつ多彩な生命現象とタンパク質の働きに関する理解とともに、多機能タンパク質が機能を発揮する生物学的意義の本質的な理解へ繋がる。近年、不注意や多動性、衝動性の症状を呈する最も代表的な子供の神経疾患である注意欠陥・多動性障害を持つ発達障害の患者では、12番染色体のPRMT8を含む遺伝子座に欠損変異が知られている。従って、本研究は、PRMT8が有する二酵素活性の生物学的意義の理解に留まらず、神経疾患の発症メカニズムの解明に新たな突破口として発展する可能性を秘めている。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 7件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 2件)
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