研究課題
基盤研究(C)
非アルコール性脂肪肝疾患は環境要因と遺伝要因から発症する多因子疾患である。高脂肪食摂取により、重篤な脂肪肝を示すSMXA5マウス (脂肪肝抵抗性のSM/JとA/Jを両親系統とする)の解析から、脂肪肝の候補遺伝子としてIah1(isoamyl acetate-hydrolyzing esterase 1 homolog)遺伝子を見出した。この機能解析を進め、遺伝的背景の異なる2系統の全身性Iah1 欠損マウスの表現型解析から、Iah1のin vivoにおける機能を解析したが、肝臓中性脂肪含量の増加は見られなかった。そのため、Iah1遺伝子は高脂肪食誘導性脂肪肝の発症には関与しないことが示された。
Fl1saの候補遺伝子として選抜したIah1の機能については酵母以外での報告は存在せず、マウス個体を用いたIah1の機能解析を行なった初めての研究である。多遺伝子で発症する疾患の遺伝子同定の手法としてCRISPR/Cas9システムを利用することにより、動物個体において候補遺伝子とその他の遺伝子群との相互作用を再現することができた。また、肝外組織である脂肪組織において遺伝子発現変動が見られ遺伝子はIah1の直接的な影響ではなく、全身の代謝変化による2次的なものであると考えられ、細胞系での遺伝子の機能解析では得られない変化を動物個体での解析が提示することを示すものである。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
PLOS ONE
巻: 15 号: 5 ページ: e0233087-e0233087
10.1371/journal.pone.0233087