研究課題
基盤研究(C)
いもち病を防除するアプローチとして、細胞内免疫受容体をコードするイネ抵抗性遺伝子を用いた抵抗性品種の利用が実施されている。植物のNLRsに組み込まれている特殊な領域(ID)は、病原体から分泌されたエフェクターを直接認識し、免疫反応を誘導する。イネの免疫受容体ペアであるPik-1/Pik-2とRGA5/RGA4はいずれもIDとしてHMA領域を持ち、この領域でいもち病菌エフェクターAVR-PikとAVR-Piaをそれぞれ認識する。本研究では、Pikp-HMA領域がAVR-Piaと結合し、Pikp-1/Pikp-2はミスマッチのAVR-Piaに対して免疫反応を誘導することを明らかにした。
植物耐病性研究において、宿主NLRによる病原菌AVRエフェクターの認識は最も重要な研究課題の一つである。以前に研究代表者らは、病原菌AVRが植物NLRに組み込まれている特殊な領域(ID)に直接結合することを示し、AVR/NLR複合体結晶構造を世界で初めて明らかにした。本研究では、一つのNLRがIDを介して複数のエフェクターを認識することを見出し、それにより植物NLRのIDと病原体エフェクター相互作用の適応性が示唆された。この成果は多様なエフェクターを認識できる免疫受容体の人工設計の可能性を示すものであり、将来的に植物免疫受容体の機能の理解や病害抵抗性エンジニアリングへの展望を開くものと考える。
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