研究課題
基盤研究(C)
本研究は,土壌の浸透過程におけるリン濃度の変化を定量的に評価した。農業地区の現地観測では,地下水中に0.5 mg/Lを超える高濃度のリンが確認され,農業地区の地下水が高いリン負荷を受けていることが示された。実験室では,バッチ試験の結果から求めた吸着等温線によって浸透過程の流出濃度の経時変化が再現できるかどうかを検証した。その結果,約0.3 cm/minという大きな浸透速度においても,平衡吸着を仮定して浸透過程のリン動態をほぼ再現できることがわかった。ただし,浸透過程におけるリン動態を再現するためには,初期吸着量の推定精度が重要であることが示された。
一般的にリンは農地土壌に強く吸着されるため,農地土壌に吸着された懸濁態のリンの移動抑制が従来の水質保全対策の中心であった。しかし近年,海岸部の地下水湧出水に溶存態のリンが高濃度で検出されることが報告され未解明の水質汚染メカニズムとして,土粒子に吸着されずに地下水流動とともに移動する溶存態リンの実態把握が重要になりつつある。本研究は現地観測によって農業地区の地下水にはリンが高濃度で存在することを示した。また,土壌カラムを用いた通水型のリン吸着実験を通じて,土壌浸透過程におけるリンの動態を明らかにし,その数値モデル化を行った。これらの知見は今後の農地からの排出負荷削減対策に有益なものとなる。
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