研究課題
基盤研究(C)
世界初の真核細胞(昆虫培養細胞)中での蛋白質立体構造決定に成功した.CYANAプログラムに新規に実装した新機能(分子力場による構造評価,レプリカ交換法,ベイズ推定)を実際の昆虫細胞のin-cell NMRデータに応用し,3種類の蛋白質の高精度立体構造決定を達成した. また, CYANAに常磁性NMRのデータ解析法とmulti-state立体構造計算アルゴリズムの実装にも成功した.本手法をYUH1蛋白質の立体構造計算に適用したところ,活性部位周辺の大きな運動性と機能を明らかにすすることができ,YUH1の分子認識機構に関する新規モデルを提案できた.
創薬研究分野では,蛋白質立体構造情報を利用した構造基盤薬物設計(Structural Based-Drug Discovery; SBDD)が,効率的な薬剤設計法として確立している.本課題のアンサンブル構造解析が確立できれば,生体分子の揺らぎを含めた形で,蛋白質ー低分子化合物,蛋白質間相互作用等を解析可能となり,こうした情報の蓄積によりSBDD研究にも全く新しい知見を提供できる.また,ここで開発した統計解析のソフトウェアの世界への普及、全世界の生体系NMRのグループが本技術を共有できるよう世界に還元していく.
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