研究課題
基盤研究(C)
細胞がシャーレ一杯に増殖したコンフルエントという状態になると、「細胞遊走の接触阻害」という現象によって、細胞の遊走が停止する。正常線維芽細胞は、この状態において他の細胞と接触しているのにもかかわらず、巧みにすれ違いながらまっすぐ遊走し続ける。正常線維芽細胞のこの強固な方向持続的遊走の分子メカニズムを明らかにするべく、細胞骨格と細胞間接着構造に注目し研究を進めた。正常線維芽細胞は、コンフルエント状態において、整列した細胞同士が主に触れ合う細胞の側面間で強い細胞間接着構造を形成しないこと、ミオシンIIというタンパク質が細胞側面で高度に活性化し側面からの細胞の伸展を妨げていること等を明らかにした。
本研究によって、正常線維芽細胞が、コンフルエント状態においても強固に方向を持続した遊走を可能にする分子メカニズムの一端を明らかにすることができた。本研究成果が、細胞集団内での細胞間のコミュニケーションや細胞の運動様式を制御する新たな分子基盤の発見につながることが期待される。傷ができた際に、多数の線維芽細胞が傷口に集まりコラーゲンなどの細胞外マトリックス成分を分泌し傷を修復するが、本研究成果が、将来、新しい観点からの創傷治癒の薬剤の開発につながることも期待される。
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