研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、シナプスの安定化をもたらす分子的基盤の解明を目ざした。まず、大脳皮質錐体細胞の樹状突起スパインを二光子顕微鏡で経時的にin vivoイメージングし、安定して維持されるスパインと新たに出現したスパインを同定した。次に同じ樹状突起を電子顕微鏡で観察して樹状突起スパインの三次元再構築像を得た。その結果、安定スパインと新生スパインとではネックの長さはほぼ同じであるが、安定スパインではスパインヘッドが大きく、形態も複雑であった。さらにシナプス安定化の分子メカニズムの解明のため、シナプス誘導に関わる膜タンパク質であるテニューリンのシナプス形成過程における役割について明らかにした。
脳が長期にわたり安定に記憶を保持するためにはシナプスが長期にわたって安定的に維持される必要がある。一方、新しいことを学習したり外界の変化に応じて柔軟に対応したりするためにはシナプスが可塑的である必要がある。本研究課題では、安定して維持されるスパインの形がどのようなものであるかを明らかにした。スパインの安定性は自閉症などの発達障害や精神疾患とも関連しており、スパインを安定に維持させるしくみの解明や、どのような分子がスパインの安定化に関わっているのかが明らかになれば、発達障害や精神疾患の病因・病態の理解につながるものと期待できる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Methods in Molecular Biology
巻: 1941 ページ: 17-27
10.1007/978-1-4939-9077-1_2
Science
巻: 359 号: 6376 ページ: 679-684
10.1126/science.aaq1144