研究課題
基盤研究(C)
これまで我々は、NaxからのシグナルがTRPV4を介して飲水行動制御に関与することを明らかにしていたが、これ以外に未知のNa+シグナルの飲水行動制御に寄与していることも判明していた。本研究ではOVLT特異的に発現する分子を次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析によって同定し、それらの中からNa+/H+交換輸送体ファミリーのSLC9A4が水分摂取行動制御に関わるNa+濃度センサーであることを明らかにすることに成功した。また、そのシグナル経路はNax /TRPV4経路とは独立したものであり、SLC9A4陽性神経細胞がASIC1aを介してpH依存的に活性化されることも明らかにした。
本研究は、我々の研究グループが明らかにしたNa+濃度センサーNaxによる塩分摂取行動制御の脳内機構に関する研究と対を成すものである。したがって、これらの成果と本研究を合わせることにより体液のNa+濃度感知とその情報に基づく行動制御機構の全体像が明らかとなり、その学術的意義は極めて高いといえる。体液恒常性の異常は重篤な全身状態の悪化をもたらす。また体液恒常性維持機構と血圧調節機構の間には強い繋がりがある。本研究の成果は、これらの関連疾患の発症メカニズムの解明、並びにその治療の基礎となる知見を提供すると考えられる。
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