研究課題
基盤研究(C)
本研究では、非小細胞肺がんの薬剤耐性に着目し、anaplastic lymphoma kinase(ALK)遺伝子変異に伴う分子標的薬剤の応答性変化をコンピューター上で予測する方法論を開発・実装した。3種類のALK阻害薬(クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ) を対象に、ALK変異体-阻害剤複合体(180変異体×3薬剤)の分子動力学(MD)シミュレーション及び薬剤の結合自由エネルギー計算を実施し、3種の薬剤全てに対して結合親和性が低下した変異体3種を多剤耐性変異体候補として抽出した。これらの変異体の薬剤応答性を実験的に測定したところ、2種類の変異体で実際に全ての薬剤の応答性が低下した。
近年、患者個人のゲノムに基づいて最適な治療を提供する「個別化医療」が注目されているものの、患者のゲノム配列で同定された遺伝子変異の90%以上は機能的意義が不明である。本研究成果は、どの変異ががんの薬剤耐性化に寄与しているのかを推定可能にする点で、計算科学駆動型医療の先駆けとなる取り組みである。更に、本法によって推定した薬剤耐性の分子メカニズム及び変異体の立体構造情報は、耐性を克服する新薬の分子設計に役立つと期待される。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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