研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、虫歯の原因菌であるS. mutans、及び歯周病や食道ガンの発生に関与するS. anginosusにおけるプロトン輸送ATPaseの役割、及び阻害剤による抗菌作用を検討した。これらの細菌は高い耐酸性を有する。F-ATPaseの阻害剤は、S. mutans、S. anginosus に対し酸性培地での増殖を選択的に抑制した。また、より低いpHの培地での生存率を低下させた。さらに、S. anginosus の同酵素の遺伝子欠損株では同様の表現型が見られた。以上の結果から、F-ATPaseは細胞質からのプロトンの排出によりこれらの細菌の耐酸性に関与することが示唆された。
本研究課題の成果により、口腔内病原細菌であるS. mutans、S. anginosusの耐酸性にプロトン輸送ATPaseが重要であることが示唆された。また、複数のポリフェノール化合物が同酵素を阻害し、これらの細菌の耐酸性を低下させることを明らかにした。プロトン輸送ATPaseは多数のサブユニットから構成される巨大分子であり、作用点の異なる阻害化合物を組み合わせることでよりより強力な抗菌作用が期待できる。また、ポリフェノール類は食品にも含まれるため、安全性が高い。本研究成果は、新たなう蝕・歯周病の予防薬、または口腔ケア用品の開発につながると考えられる
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