研究課題
基盤研究(C)
小児は成人よりも薬物動態の変動が大きいため、薬物投与の個別最適化は最も必要な課題の一つである。我々は小児薬物療法の個別化を推進するため、新生児から小児期における薬物動態変化に関する長期情報を得るとともに、共変量とその裏づけとなる基礎実験を実施した。具体的には、1)肺血管拡張薬タダラフィルの体内動態に及ぼす低蛋白血症の影響、2)抗凝固薬ワルファリンの薬効に及ぼす小児の発達変動と心不全の影響を定量化した。また、3)集中治療管理下にある患者ではシルデナフィルの吸収速度が体内動態変動の一因となる事、4)新生児患者におけるカフェインの体内動態(消失)に肝代謝の寄与はほとんどない事を明らかにした。
これまで申請者は、少数採血デザインとデータ解析法を考案し、小児・新生児における臨床薬物動態研究に取り組んできた。また申請者は、小児患者の長期追跡において発達がワルファリンの抗凝固作用の共変量であることを明らかにした。本研究では、時期を異にする少数採血データを補間・解析する手法を採用し、同一症例の内的変動を考慮したデータ解析が小児期における薬物動態変化を精密に定量化する鍵になる事を明らかにした。このことは、小児集団の臨床研究計画において課題とされてきた被検者数の確保を緩和することに繋がるため、小児をはじめとする特殊患者集団における今後の研究推進に繋がる成果と考えられた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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