研究課題/領域番号 |
18K06815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田中 俊昭 山形大学, 医学部, 客員研究員 (70536987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 開口分泌小胞 / ジアシルグリセロールキナーゼ / Sec6 / PP2A / 脱リン酸化 / 脂質二重膜 / プロテインフォスファターゼ / 開口分泌 / 開口分泌複合体 / HSP27 / Secファミリー / リン脂質代謝酵素 / エキソソーム |
研究実績の概要 |
開口分泌小胞を形成する脂質二重膜の構造を解析する中で、脂質二重膜を構成する分子の1つとしてジアシルグリセロールキナーゼの様々なアイソザイムが重要な働きをしていることを見出し、細胞内の様々な生命現象のシグナル伝達に関与していることを検証してきた。また、分泌小胞を細胞内から形質膜へリクルートする働きをもつ開口分泌複合体の構成分子の1つであるSec6が、癌化や炎症反応といった病的状況下において過剰発現または機能亢進していることを見出した。 特にSec6は、プロテインホスファターゼの1つであるPP2Aがターゲット分子との結合において、プラットフォーム、またはスキャホールド的な働きがあることを見出した。このことは、Sec6が細胞内における様々な分子の機能において、on/offに関わるリン酸化と脱リン酸化を調節することを示唆するものである。さらにこの知見は、開口分泌小胞の脂質二重膜における膜タンパクのリン酸化を調節することを意味し、分泌小胞が細胞内において形成される過程や、分泌小胞が内包するタンパク質やRNAへの影響が出ることによって、分泌小胞を介した細胞間伝達へも影響を与えることが示唆された。 癌化や炎症において、PP2Aの機能は破綻し細胞内における正常な脱リン酸化が機能不全に陥ることから、開口分泌の正常な放出や細胞間コミュニケーションについても病的状況下においては、機能不全に陥っている可能性が示唆された。 現在、開口分泌小胞の脂質二重膜における膜タンパクのリン酸化・脱リン酸化状態を精査し、病的状態における開口分泌小胞の膜構造の変化や内包するタンパク質やRNAへの影響に注目して研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開口分泌小胞を形質膜にリクルートする機能を持つSec6が、プロテインホスファターゼの1つであるPP2Aがターゲット分子との結合において、分子間結合における調節を行う役割を担うこと、それによってリン酸化のオン/オフを切り替える役割を担うことを見出した。これによって開口分泌小胞の脂質二重膜における膜タンパクのリン酸化・脱リン酸化を介した開口分泌小胞の形成過程や小胞内に含有されるタンパク質やRNAなどの選択性について研究が進んだ。 一方で、正常状態と病的状態における開口分泌小胞の脂質二重膜の構造について、質量分析などの解析が必要となり、検証を行う必要が生じたために時間がかかってしまった。また、開口分泌小胞内の含有物の解析には、大量の開口分泌小胞を集積する必要があり、解析精度を上げる必要性が出たために、研究の一部において停滞することとなった。しかし、研究全般としてはおおむね進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、正常状態と病的状態(癌化・炎症)における開口分泌小胞の脂質二重膜における膜タンパクのリン酸化・脱リン酸化を比較検討を加え、膜構造の変化について、特にジアシルグリセロールキナーゼに着目し、詳細な解析を行っていく予定である。また、開口分泌小胞の形成過程と内包するタンパク質やRNAへの影響と選択性についてPP2Aとの関係性に焦点を当ててさらなる検証を進めていく予定である。
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