研究課題
基盤研究(C)
我々は脳の高次機能には興奮性シナプスの構造的可塑性を伴う機能調節機構が深く関与し、膜脂質の一種PIP3と特異的に結合する Phldb2は、シナプスが形成されるスパインにPIP3依存的に局在し、グルタミン酸受容体のシナプス内係留とシナプス後肥厚タンパク質(PSD)-95の細胞内動態に関与することを突き止めた。Phldb2欠損マウスでは、海馬CA1シナプスの長期増強 (LTP)のシナプス可塑性および記憶形成が欠如していることも報告した(Xie,2019)。さらに、Phldb2がF-actin関連因子であるdrebrin Aの発現および局在を制御し、スパインの形態変化、成熟に関与すると見出した。
シナプス伝達効率を動的に制御(シナプス可塑性)する仕組みは、学習記憶のモデルとして盛んに研究され、関連遺伝子やタンパク質の同定とその役割の理解が深まりつつある。本研究では、膜脂質の一種ホスファチジルイノシトール(3,4,5)三リン酸(PIP3)と特異的に結合するPhldb2は、シナプスが形成されるスパインにPIP3依存的に局在し、シナプス可塑性、構造および学習記憶に重要な役割があることを見出した。この研究から得られる知見は記憶・学習機能を支える基本原理の理解に十分に貢献できることが期待でき、更に、神経・精神疾患の原因やその治療法の研究にも役立つ可能性がある。
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J. Neurosci.
巻: Online ahead of print 号: 22 ページ: 4795-4808
10.1523/jneurosci.0367-20.2021
Sci Rep
巻: 9 ページ: 4305-4305
10.1007/978-3-030-05542-4_3