研究課題
基盤研究(C)
糖修飾(O-GlcNAc化)アクチン抗体を作製し、免疫染色により正常のWistarラットと糖尿病モデルGKラットならびに健常人と糖尿病患者の組織における発現を比較検討した結果、特に糖尿病の腎臓において糖修飾アクチンが核と細胞質でいずれも増加していることが明らかになった。さらに、糖修飾アクチンと相互作用する核内タンパク質を調べるため、正常と糖尿病ラット腎臓の核画分タンパク質を、免疫沈降ならびにマススペクトロメトリーを行い、糖尿病で特に増加するタンパク質を同定した。
糖修飾アクチンが核内でどのような役割を担っているかについての研究は、国内外を通じていまだ行われていない。本研究は、従来、糖尿病性合併症を起こすとして考えられていた病因に加えて、さらに核内アクチンの糖修飾(O-GlcNAc化)という観点から検討するところが独創的な点である。新たな病因の分子機序の解明に寄与すると考えられる。また、核内アクチンのO-GlcNAc化の程度を測定し、その亢進を抑制することができれば糖尿病合併症の診断、予防や治療に向けた基礎的知見として役立つことが期待される。本研究の進展により、将来的には糖尿病合併症の新しい治療法開発へと応用されることが期待される。
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