研究課題
基盤研究(C)
肺発生の後期では、II型肺胞上皮、およびI型肺胞上皮細胞の2種類の肺細胞が肺遠位saccule構造を形成する。私は線維芽細胞に発現するMAP-microbutule affinity regulating kinase 1(Mark1)が肺遠位saccule構造形成にどのように必要とされるのかについて検討した。 ゲノム編集によってMark1ノックアウト(KO)マウス作製し、表現型を解析したところ、肺遠位saccule構造形成およびI型肺胞上皮の扁平化は著しく損なわれた。さらに胎児肺上皮細胞を用いた肺胞オルガノイド培養法を構築し、線維芽細胞と共培養すると肺細胞に分化し、拡張した内腔を有するオルガノイド を形成することを見出した。しかし、Mark1 KO線維芽細胞の存在下ではI型肺胞上皮の扁平化が損なわれ、オルガノイドのサイズは減少した。 Mark1 KO線維芽細胞において、繊毛形成およびヘッジホッグ経路は抑制され、コラーゲンの発現が低下した。Mark1 KO線維芽細胞と共培養したオルガノイドにおいて、コラーゲンの添加はI型肺胞上皮の扁平化を誘導し、オルガノイドのサイズの減少もレスキューした。肺胞オルガノイド を模した数理モデルにおいて、I型肺胞上皮の扁平化はsaccule構造形成に必要であることを見出した。これらの結果は、Mark1によって活性化した線維芽細胞はI型肺胞上皮の扁平化を誘導し、肺遠位saccule構造形成を調節することを示唆している。
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Clinical Cancer Research
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