研究課題
基盤研究(C)
メチルグリオキサール(MG)は反応性・毒性の高い物質である。我々はこれまで統合失調症患者において、このMGの解毒酵素であるGLO1の機能障害を有し、またMG除去機能をもつビタミンB6(VB6)濃度が低い一群がいることを報告してきた。本研究では、Glo1ノックアウト(KO)マウスにVB6欠乏餌を与えることで、病態を反映したモデルマウスを作製し、MG解毒機構の障害が脳機能に及ぼす影響を評価した。その結果、当該マウスは脳内でMG蓄積を生じ、統合失調症様行動障害を示した。また、前頭前皮質ではミトコンドリア機能関連遺伝子の発現異常により、呼吸鎖障害及び酸化ストレス亢進が生じていることが明らかになった。
今回明らかになった結果は、MG除去機構の障害であるGLO1機能障害とVB6欠損が組み合わさることで、脳内においてMGが蓄積し、前頭皮質におけるミトコンドリアの機能障害及び酸化ストレスの亢進が生じ、結果として統合失調症様行動障害が引き起こされていることを示唆するものである。本研究成果は、MG除去機構の障害が統合失調症の発症に関与していることを示した初めての研究成果である。本研究で明らかになった障害メカニズムを考慮すると、MG除去機構障害(GLO1機能障害とVB6欠損)を有する患者さんに対しては、酸化ストレスを防ぐ抗酸化物質やVB6の補充が新たな治療戦略として有効である可能性がある。
すべて 2022 2021 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 8件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 15件) 学会発表 (39件) (うち国際学会 6件) 図書 (1件) 備考 (3件)
Redox Biology
巻: 49 ページ: 102222-102222
10.1016/j.redox.2021.102222
Antioxidants
巻: 10 号: 4 ページ: 574-574
10.3390/antiox10040574
PLOS ONE
巻: 16 号: 5 ページ: e0251283-e0251283
10.1371/journal.pone.0251283
Translational Psychiatry
巻: 11 号: 1 ページ: 262-262
10.1038/s41398-021-01381-z
巻: 11 号: 1 ページ: 331-331
10.1038/s41398-021-01460-1
巻: 45 ページ: 102057-102057
10.1016/j.redox.2021.102057
npj Schizophrenia
巻: 7 号: 1 ページ: 37-37
10.1038/s41537-021-00167-y
Science Advances
巻: 7 号: 46 ページ: 1-5
10.1126/sciadv.abl6077
Frontiers in Genetics
巻: 12 ページ: 762999-762999
10.3389/fgene.2021.762999
EMBO Mol Med
巻: 13 号: 4
10.15252/emmm.202012574
Nat Commun
巻: 12 号: 1 ページ: 2021-2021
10.1038/s41467-021-21917-7
Schizophr Res
巻: 223 ページ: 242-248
10.1016/j.schres.2020.08.007
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 116 号: 48 ページ: 24334-24342
10.1073/pnas.1907982116
Genome Biology
巻: 20 号: 1 ページ: 135-135
10.1186/s13059-019-1747-7
Behavioural Brain Research
巻: 339 ページ: 207-214
10.1016/j.bbr.2017.11.040
Psychiatry Clin Neurosci.
巻: 72(1) 号: 1 ページ: 35-44
10.1111/pcn.12613
Mol Neurobiol
巻: 印刷中 ページ: 4136-4159
10.1007/s12035-017-0638-8
https://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/
http://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/index.html
http://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/