研究課題
基盤研究(C)
アポクリン変化は乳腺の形質転換の一つあるが、浸潤性アポクリン癌あるいはアポクリン型非浸潤性乳管癌に明白な良性病変、境界的な病変が共存することが明らかになり、境界病変と癌に境界が不明瞭で連続性を有する症例も見いだされた。アポクリン病変の筋上皮細胞数的・抗原性変化は、種々の構築・腫瘍周囲環境によって異なっていた。p53 と MIB-1 陽性細胞率もヘテロな陽性分布を示した。局所腫瘍微小環境の検討では、腫瘍免疫応答に乏しいグループに属することが示唆された。大部分の癌細胞は一次線毛を発現していなかったが、一部症例にびまん性の発現を認め、CK5/6が陽性であり、新規の組織型には該当する可能性がある。
乳腺アポクリン病変は、診断者が各自の判断に基づいて診断を行っている現状があり、病変の全体像を観察しても良悪性の判断が分かれる症例も存在する。個々の症例に対して最適な治療を行うためには、診断基準の確立が必要であった。今回の研究で、良性病変と境界的な病変が共存すること、境界病変と癌に連続性を有する症例が存在し、筋上皮細胞数的・抗原性変化は、構築・腫瘍周囲環境によって異なり、p53 と MIB-1 陽性細胞はヘテロに分布し、腫瘍免疫応答に乏しいグループに属することが示唆された。線毛発現を伴うアポクリン様分化癌も見いだしたが、既報組織型には該当しない症例と考えられた。今後さらに検討していく必要がある。
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