研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ChIP-seq法によるメロゾイトのマスター転写因子であるAP2Mの標的遺伝子解析を行い、メロゾイト赤血球侵入に関わる新規遺伝子群同定およびその遺伝子発現機構の解明を試みた。ヒト熱帯熱マラリア原虫AP2MのChIP-seq解析によって、503の標的遺伝子とその結合モチーフを同定した。その中には、マイクロネーム遺伝子、ロプトリー遺伝子など既知の侵入関連因子の他、多数の機能未知遺伝子が同定され、メロゾイトの機能に関わる新規分子であることが推測された。さらに、AP2Mは標的遺伝子上流配列に含まれる結合モチーフに結合して、転写活性化を促す役割を持つことが明らかになった。
マラリア原虫のメロゾイトによる赤血球への侵入は、感染赤血球からの脱出、新しい赤血球への接着、先端部の方向転換、寄生胞を伴う侵入、侵入後のステージ転換などのステップからなる複雑な現象である。本研究で同定した新規侵入関連因子の機能を明らかにしていくことで、赤血球侵入機構の全貌解明につながることが期待される。赤血球侵入期は、マラリア原虫が直接抗体の攻撃にさらされるため、ワクチンの最重要な標的ステージであるといえる。本研究成果により提示される新しい侵入関連遺伝子はワクチン標的分子の候補としてワクチンの開発者に極めて重要な情報となるだろう。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (1件)
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