研究課題
基盤研究(C)
シャーガス病は、寄生原虫クルーズトリパノソーマを病原体とする感染症で、慢性化を特徴とする。申請者らは、レクチンの一種コンカナバリンA(ConA)を含む培地でクルーズトリパノソーマ上鞭毛期型(昆虫型)を培養すると、原虫が嚢子(cyst)に類似した形態となり、内部に多数の娘原虫が形成されることを明らかにした。原虫の核やミトコンドリアなどの細胞内小器官は嚢子壁で形成され、嚢子内腔で個々の原虫が形成された。また、嚢子内に形成された原虫は哺乳類細胞に感染できることが明らかとなった。メタボローム解析の結果、ConAで誘導された嚢子の代謝活性は低下しており、休眠型の性質を持つことが明らかとなった。
シャーガス病における慢性化の機序として、これまでに細胞内寄生型amastigoteの中には「分裂しない」原虫が出現し、これが薬剤耐性や長期生存の原因となっている可能性が示唆されている(DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.34039.001, 2018)。本研究で見出された嚢子型では解糖中間代謝産物の蓄積が認められ、休眠に近い代謝活性状態にあると考えられる。本研究の成果は、シャーガス病の慢性化の新たな機序として原虫の休眠現象を強く示唆するものであり、その分子基盤を明らかにすることによって新たな創薬標的の創出が期待できる点で、大きな学術的・社会的意義をもつ。
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