研究課題
基盤研究(C)
多くの細菌にはバクテリオファージ(ファージ)が共感染しており、ファージ間における様々な相互作用の存在が推測されている。本研究では、O145の血清型をもつ腸管出血性大腸菌(EHEC)菌株に特定された「ファージ内ファージ」の解析により、このファージ共存が、①ファージ形質の変化に影響を及ぼしうること、②様々な血清型のEHECと腸管病原性大腸菌(EPEC)に起こりうること、③宿主大腸菌の病原性進化や多様化に影響を与えること、を明らかとした。これらの成果はEHEC/EPECやそれらが有するファージの研究分野だけではなく、細菌の進化および基礎・臨床微生物学の幅広い研究者に新たな知見を提供する。
様々な菌種において、個々のファージのゲノム構造や宿主菌の進化や多様化における役割が明らかとなっている。しかし、細菌の細胞内に複数存在するファージ間の相互作用とそれが宿主菌の進化や多様化に与えるインパクトは従来の研究ではほぼ未解明の領域であった。この点において、本研究成果が今後のファージ研究に与える影響は小さくない。また、腸管出血性大腸菌は感染患者に重篤な症状を引き起こしうる、公衆衛生上重要な病原細菌である。今回の解析により、本病原細菌の病原性に対する理解においても新しい情報を提供したことで、今後の高病原性大腸菌のサーベイランスなどに貢献できると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
PLoS Pathogens
巻: -
Microbial Genomics
巻: 6 号: 1
10.1099/mgen.0.000323