研究課題
基盤研究(C)
我々はこれまでに、GRWD1ががん抑制性リボソーム因子RPL11あるいはRPL23と結合して機能を抑制し、その結果、腫瘍抑制因子p53を抑制し、がん遺伝子として機能することを報告してきた。本研究では、GRWD1が直接p53の転写活性化能を制御することを見出した。さらに、質量分析法によってGRWD1結合が同定されたリボソーム因子RPS17にも着目し、がん抑制活性の有無の検討などを行った。その結果、RPS17は核小体因子nucleophosminの局在を制御することによってがん抑制的に機能することを見出した。
がん細胞ではp53の変異が認められることが多いが、その一方で、p53に異常のないがん患者も多く存在する。本研究により、GRWD1が多様な経路によってp53を負に制御することにより、細胞のがん化を促進させることを明らかにした。また、TCGAデータベースを用いた解析により、いくつかのがん種において、GRWD1タンパク質量の増加はがんの悪性度を上昇させ、予後不良の予測因子となり得ることも発見した。よって、GRWD1発現検査はがん治療方針のより適切な決定につながる可能性がある。さらに、本研究は幅広いがんの病態把握やGRWD1を標的とする新たな抗がん剤開発の一助となることも期待できる。
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