研究課題
基盤研究(C)
悪性中皮腫(MM)のゲノム解析法として、エクソン/遺伝子単位のコピー数変化(CNA)を捉えられるdigitalMLPA法を開発した。本法により、MMはchromothripsis-like pattern CNAが特徴であることが示された。上皮型MMでは検体間CNA頻度差が大きく、わずかな領域に1アレル欠損が見られるのみの患者は予後良好であった。他方CDKN2A/2Bに加え、3p21, TP53, NF2にも2アレル欠損が生じている患者は予後不良であった。二相型、肉腫型はCNAした染色体数が多く、染色体内でも増幅・欠損の変化が見られた。CNA解析によりMM予後予測の可能性が示せた。
悪性中皮腫は、化学療法抵抗性の極めて予後不良の腫瘍である。本学は本邦で最もMM患者数が多く、早期診断・治療に取り組んできたが、今なお診断後2年内に死亡する患者の方が多い。遺伝子解析によりchromothripsis-like patternが検出されず、CNA変化が少なければ予後は良好と予測される。当該患者の治療を軽減できる可能性が示され、QOL改善につながる。また予後不良患者腫瘍で共通してコピー数変化が生じる領域から、悪性化に寄与する遺伝子を見出し、本分子に対する分子標的薬の探索に研究を発展させることは治療法の開発につながり、基礎研究として意義深い。
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