配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究実績の概要 |
ACLY(ATPクエン酸解裂酵素)は脂肪酸やコレステロールを合成する主要な経路を担っている。この酵素は多種のがんで発現亢進がみられるため、われわれはがん細胞におけるこの酵素の役割を検討してきた。その一環としてヒトACLYを導入したトランスジェニックマウス(ACLYM)を作成した。 C57BL/B6を背景としたACLYMを無処置で長期観察を行った。24-30月齢のオス24匹を剖検すると14匹(58%)に血液系腫瘍(LL, リンパ腫・白血病)、7匹(29%)に肺がんが認められた。しかし、同一ケージで飼育したコントロールマウス(CM)にも50%(6匹中3匹)にLLの発生が認められた。 次いでLLに耐性であるC3Hにバッククロスを行い、これに用いたC3HをCMとし、ホモのACLYMとできるだけ離したケージで別々に飼育した。ACLYM129匹(オス67、メス62匹)とCM49匹(オス19, メス30匹)を無処置で18月観察すると、ACLYM73匹(57%; オス: 41, 61%; メス: 32, 52%) と CM8 匹 (16%; オス: 4, 21%; メス: 4, 13%)にがんが認められた。ACLYMは全体、オス、メスすべてで有意にがん発生率が高かった(p<0.05)。形成された腫瘍は、肝がん 33匹 (26%; オス: 22, 33%; メス: 11, 18%), LL28 匹 (22%; オス: 12, 18%; メス: 16, 26%)等であった。CMには肝がん7匹 (14%; オス: 4, 21%; メス: 3, 10%)でCMにLLは認められなかった。肝がんの発生率に有意差は認められなかった。以上の結果から、ACLYがLLの発生に関与していることが疑われた。C57BL/B6CMに腫瘍発生がみられたことには腸内細菌叢の関与を疑っており、ACLYMとCMでは腸内細菌叢が異なることがわかった。原因菌の同定を含め、検討を続けている。
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