研究課題
基盤研究(C)
本研究で、肺がんにおいてがんに対する宿主免疫応答を詳細に解析してきた結果、肺腺癌では、XAGE1抗原に対する免疫応答が、肺扁平上皮癌では、NY-ESO-1抗原に対する免疫応答が主要な免疫応答であることが明らかになった。これの事実をもとに我々は、肺がんにおいてXAGE1やNY-ESO-1抗原に対するIgG免疫応答を指標に、抗PD-1抗体単剤に対する奏効率と生存期間の延長を検証するために前向きの多施設共同臨床試験を行った。その結果、治療前に、XAGE1やNY-ESO-1抗原に対する潜在的なIgG免疫応答を有する患者と有しない患者の奏効率は各々65%(11/17)と19%(11/58)、無増悪生存期間は13.2か月と2.1か月(HR, 0.37、95% CI 0.22-0.61、Log-rank p =0.0008)、全生存期間は未達と8.3か月(HR, 0.22、95% CI 0.12-0.41、Log-rank p =0.0003)であった。また、この臨床試験の免疫モニタリング解析で、XAGE1やNY-ESO-1抗原に対する潜在的なIgG免疫応答を有する場合、免疫監視機構が十分に働き、その治療過程においても様々がん抗原に対する免疫応答が惹起され、がんを駆逐しようとする免疫応答が働いていることが明らかとなった。これらの結果は、XAGE1やNY-ESO-1抗原に対するIgG免疫応答は、非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体療法:オプジーボまたはキイトルーダ)の効果を予測できる血清バイオマーカーであることを、世界で初めて証明した。
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Journal of Thoracic Oncology
巻: 14 号: 12 ページ: 2071-2083
10.1016/j.jtho.2019.08.008
120006796543