研究課題
基盤研究(C)
本研究では、消化管や肺などに発生する神経内分泌腫瘍(NET)症例90例におけるオミックスデータ(全エクソン解析による遺伝子変異とコピー数データ、及び網羅的遺伝子発現データ)の中から、臓器横断的NETに共通に発現する遺伝子(遺伝子X)を抽出した。その産物であるタンパク質をマーカー候補として、複数の部位特異的な抗血清を作製した上で、プロテオミクスを駆使し、NET診断マーカーとしての有用性を検討した。
NETは全臓器的に認められ、全腫瘍の1~2%を占める稀な腫瘍であるが、罹患率は年々上昇傾向にある。特にホルモン産生症状のない非機能性NETは特異的症状がなく進行するため、増大後や遠隔転移後にはじめて発見される。また、血中診断マーカーのNSEやクロモグラニンAは感度や特異度に問題点があるため、現状は画像診断が中心となる。本成果は、こうしたNET血中診断に向けた新しい腫瘍マーカー候補として期待される。
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Cancer Science
巻: 111 号: 2 ページ: 687-699
10.1111/cas.14290