研究課題/領域番号 |
18K07351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 俊也 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40190459)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2018年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 埋没費用効果 / コンコルドの誤信 / 最適採餌理論 / 行動生態学 / 統計モデル / 行動経済学 / 強化学習 / 学習理論 / コンコルド効果 / 社会採餌理論 / Roth-Erev学習則 / Roscola-Wagner学習則 |
研究成果の概要 |
埋没費用効果(コンコルド誤信)は「多くの労働を投資してしまった対象に対し、不合理な高い価値を賦与する」現象として経済学・心理学で指摘されてきた。ヒトではミクロマクロの多くの局面でこの効果が現れる。何らかの生物的背景があると考えた。そこで本研究では孵化後間もないヒヨコを対象に、餌場への歩行コストを実験的に制御し、たどり着いた餌場での滞在時間に及ぼす効果を調べた。その結果、(1)ヒヨコも埋没費用効果を示すが、(2)長期平均利益率を逆説的に高める行動であるものの、(3)利益率は最大化されず亜最適な行動であることが判明した。統計モデルを構築した所、直近の利潤率によって離脱確率を決めている事が判った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトは経済学的局面でも多くの不合理行動を示す。これはヒトが本来の生態学的環境のもとで小集団による狩猟採集行動を採ってきた進化的背景のためであると想定した。そうであれば、他の多くの動物も一見不合理な行動を採ることが予想される。その行動・心理・認知・神経機構を総合的に明らかとしたことが本研究の意義である。孵化後間もないヒヨコは生後のすべての給餌条件と採餌行動を実験的に操作できる稀有な例である。収益が徐々に逓減する採餌条件の下で、餌場にたどり着くためのコストを操作することで、餌場での滞在時間の延長を見た。この結果は、妥当な労働投資とは何か、という社会的課題について生物学的な基礎を与えるものである。
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