研究課題
基盤研究(C)
免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体など)は、腫瘍特異抗原を認識している抗原特異的細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte, 以下CTL)の機能を増強させることを目的として開発された薬剤である。しかし、単一の抗原に対する症例毎のCTLそのものを個別に同定し、その機能について詳細に把握する手段は未だ十分には開発されていない。本研究は、腫瘍免疫検査学の視点から、抗原特異的CTLを数値化し経時的な機能測定を行う方法の開発と、免疫増強効果が報告されてきているIMiDsなどの薬剤の細胞性免疫に対する効果測定法の開発 を最終目標とした。2020年度は2019年度に引き続き、以下を検討した。①混合リンパ球ペプチド培養法を用いて、HLA-*24:02陽性造血器腫瘍性疾患におけるWT1-CTLの効率的な検出方法・条件を継続検討した。②WT1抗原特異的CTLが、WT1ペプチド存在下においてはNK細胞の活性化にも直接的に関与しているか否かについて、混合リンパ球ペプチド培養法を基盤とした新しい培養系を用いて解析した。この結果、一部のHLA-*24:02陽性造血器腫性疾患においてWT1特異的CTLが増幅可能であること、機能的表面形質が末梢のCTLと異なること、また、WT1ペプチド添加CTLはサイトカイン放出によりNK活性を高めること、このNK活性増強効果はIMiDsによって増幅される可能性があることを確認した。
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