研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ミトコンドリア呼吸が阻害された急性骨髄性白血病(AML)細胞の骨髄微小環境での生存機構を明らかにした。ミトコンドリア呼吸を阻害されたAML細胞は、トンネルナノチューブを形成し、これを介して間質細胞からミトコンドリアを受け取っていた。また、AML細胞内ではミトコンドリアの分裂が進み、機能の衰えたミトコンドリアがマイトファジーによって排除されていた。本研究は、骨髄微小環境内のAML細胞が、周囲の細胞から直接的にミトコンドリアを受け取るとともに、自身のミトコンドリアの分裂を促進させて機能を高めることで、ミトコンドリア呼吸阻害に抵抗性を強め、生存に必要なエネルギーを得ていることを示した。
白血病は高齢者に多発する疾患で、治療後の再発が多い。これは、臓器予備能が低い高齢者に対して強力な抗がん剤治療を行うことができず、その結果、多数の白血病細胞が骨髄「微小環境」に生き残って治療抵抗性を獲得するためである。骨髄中の白血病細胞は、自ら作り上げた低栄養、低酸素状態の「白血病微小環境」の中で、独特のエネルギー代謝や低酸素環境への適応力を獲得する。微小環境中における白血病細胞のエネルギー制御について理解することは、白血病の再発防止に必須である。本研究では、白血病細胞の生存力の軸となる酸化的リン酸化の制御機構を解明した。
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