研究課題
基盤研究(C)
【背景】トリグリセライド(TG)は、リポ蛋白の一部として血中を循環し、肝臓や筋肉、全身の脂肪組織に蓄積される。リポ蛋白および脂肪組織中のTGは、前者がリポ蛋白リパーゼ(LPL)、後者がホルモン感受性リパーゼ(HSL)によって異化される。TGの異化によって生じた遊離グリセロール(FG)と遊離脂肪酸は、エネルギー貯蔵や脂質再合成に利用される。この一連のTGの異化過程において、インスリンは重要な役割を担っており、LPLを促進し、HSLを抑制する。しかし、インスリン抵抗性がある場合、インスリン作用が不足してHSLを抑制できない。よって、脂肪組織のTG異化を抑制できず、脂肪組織に由来する空腹時FG濃度が上昇すると予想される。以上より、血中の空腹時FG値は、肥満を基盤とする代謝疾患における簡便で鋭敏なインスリン抵抗性の指標となる可能性がある。【目的】汎用分析器で測定できるFG測定法を開発し、肥満における空腹時FG濃度が糖・脂質代謝検査およびインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)と関連するかを明らかにする。【方法】高度肥満患者5名(M/F: 2/3, 平均BMI: 48 ± 8 kg/m2)にて短期内科入院による減量治療の前後で早朝空腹時に静脈血を採取した。グリセロール酵素法を応用した血中FG濃度の高感度定量法を確立し、血中FG濃度と糖・脂質代謝検査の推移を検討した。【結果および考察】 高度肥満における空腹時FG濃度は、227 ± 83 μmol/Lと高く、トリオレイン換算のTG量として20 ± 7 mg/dLに相当した。短期内科入院後、体重は約4%減少し、TG濃度は有意に低下した。一方、その他の糖・脂質代謝関連指標に有意な変化はなく、FG値の変動も小さかった(治療後FG濃度: 201± 67 μmol/L)。今後、内科治療に加え、胃切除による外科治療後のFG変動を解析する予定である。
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