研究課題
基盤研究(C)
申請者たちはこれまでに、ヒトの免疫不全症の1つである高IgE症候群の主要原因遺伝子signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3) を世界に先駆けて同定し、STAT3変異によるアトピー性皮膚炎重症化のメカニズムを明らかにした。しかし高IgE症候群の原因遺伝子は複数存在し、遺伝子毎に異なるメカニズムで病態が形成されることが考えられる。近年、当研究室では、高IgE症候群の3主徴を呈する患者において、既知の原因遺伝子とは異なる新たな原因遺伝子候補Xの変異を発見した。この原因遺伝子の変異がどのようなメカニズムで高IgE症候群患者における病態を引き起こすのか、特にアトピー性皮膚炎の重症化を引き起こすメカニズムを明らかにするために、この原因遺伝子候補Xの変異を持つ高IgE症候群モデルマウスを作製した。このマウスに、アトピー性皮膚炎モデル実験系として確立されているオキサゾロン反復塗布皮膚炎を惹起し、皮膚の炎症反応を組織病態学的解析や、フローサイトメトリー解析、ELISA法などにより評価した。その結果、高IgE症候群モデルマウスでは、野生型マウスに比べて皮膚炎惹起部位の皮膚の肥厚ならびに浸潤細胞数の増加などの免疫系の異常反応が起きていることが分かった。研究代表者の退職に伴い、本実験計画は廃止となるが、今後、さらなる研究を行い、高IgE症候群患者で認められるアトピー性皮膚炎の重症化メカニズムについて解析を行っていく予定である。
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http://www.genome.tokushima-u.ac.jp/dmm/