研究課題/領域番号 |
18K07811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 晋一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70622091)
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研究分担者 |
新堀 哲也 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
青木 洋子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | CFC症候群 / ヌーナン症候群 / BRAF / RAS/MAPKシグナル伝達経路 / ヒストン修飾 / RIT1 / 心臓線維化 / 心疾患 / RASopathies |
研究実績の概要 |
Cardio-facio-cutaneous (CFC)症候群は心疾患、特異的顔貌、皮膚疾患、精神発達遅滞を示す遺伝性難病で、その原因遺伝子は癌原遺伝子BRAFである。我々はこれまでにCFC症候群モデルマウス(Brafノックイン(KI)マウス)を作製しCFC症候群患者同様に心疾患を示すこと、またこの心疾患治療にはヒストンH3K27脱メチル化酵素阻害剤(GSK-J4)、MEK阻害剤が有用であることを報告した。本研究では、なぜGSK-J4がBraf KIマウスの心疾患改善に有用であるのか、RAS/MAPKシグナルとヒストン修飾に焦点をあて解析を行った。本年度はBraf KIマウスの心臓発生期において発現変動する遺伝子を同定するためマイクロアレイ解析を行い、その後、定量的リアルタイムPCRによって再現性の確認を行った。その結果、Braf KIマウス胎仔心臓においてNppa, Nppb, Six1など心疾患・心臓発生に重要な遺伝子が発現変動していることを発見した。さらにBraf KIマウス胎仔の抽出液ではH3K27me1タンパク発現量が変化していることを見出した。 上記の実験に加え、RASサブファミリーであるRit1(RAS-like without CAAX1)遺伝子変異を持つノックインマウス(Rit1 KI: CFC症候群と類似した疾患であるヌーナン症候群モデルマウス)を新たに作製した(Takahara et.al, EBioMedicine, 2019)。RIT1タンパク質はBRAFタンパクの上流にあり、特にBRAFと相互的な関係性が強いとされている。よってRit1 KIマウスを新たに追加し、包括的にRAS/MAPK経路とヒストン修飾との関係性について解析を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的はRAS/MAPKシグナル伝達経路とヒストン修飾がどのように心疾患発生に関係しているかCFC症候群モデルマウスを用いて解明することである。本年度は、Braf KIマウスの心臓発生期において発現変動する遺伝子を同定するため、マイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を行い、その後、定量的リアルタイムPCRによって再現性の確認を行った。その結果、Braf KIマウス胎仔心臓においてNppa, Nppb, Six1など心疾患・心臓発生に重要な遺伝子が変化していることを同定した。またBraf KIマウス胎仔心臓におけるヒストン脱メチル化酵素UTX, JMJD3酵素活性、タンパク、mRNAレベルはコントロールマウスと同等であるが、H3K27me1タンパク発現量に変化が認められることを発見した。現在、これらの同定された遺伝子がヒストン脱メチル化阻害剤(GSK-J4)投与によって変動するかどうか解析をはじめたところであり、おおむね順調に進んでいると判断した。 これまでの研究計画にはなかったが、別のプロジェクトにおいてCFC症候群と類似した疾患であるヌーナン症候群モデルマウス作製(Rit1 KIマウス)に成功した。Rit1 KIマウスはBraf KIマウス同様に心肥大、心臓線維化、イソプロテレノール負荷により著明な心肥大、心臓線維化を示すモデルであった。そこでRit1 KIマウスの心疾患においてもヒストン修飾が重要であるかあわせて解析を行うことにし、実験計画を一部変更した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、まず心臓発生期におけるRAS/MAPKシグナル伝達経路、ヒストン修飾の関わりを解明するためBraf KIマウス胎仔心臓で発現変動が見られた遺伝子がGSK-J4投与時に変動しているか解析を行う。またこれら変動のあった遺伝子のヒストン修飾をクロマチン免疫沈降により解析する。発生後における解析としては、まずイソプロテレノール負荷を行い心肥大、心臓線維化を起こしたBraf KIマウス、Rit1 KIマウスを用いてMEK阻害剤であるPD0325901、GSK-J4またその併用療法が心疾患改善に有用であるか検証する。
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