研究課題
基盤研究(C)
知的障害(ID)は一般人口の1~3%を占める比較的頻度の高い病態である。IDを始めとした自閉スペクトラム症(ASD)、てんかんなどの神経発達症(ここではDSM-5の定義による神経発達症ではなく、発達期に発症する神経疾患の総称と定義)の合併はよく認められ、最近の研究では遺伝要因(原因遺伝子)もオーバーラップすることが報告されている。我々は2014年4月にID患者診療に特化した通称「ID外来」を開設し、ID患者の臨床症状の蓄積、マイクロアレイ染色体解析と次世代シークエンス解析を組み合わせた系統的な遺伝学的解析を実施してきた。本研究は先行研究を基盤とし、対象疾患をIDを中心とした神経発達症に広げ、その臨床症状および遺伝学的背景を明らかにし、病態解明および治療開発に結び付けることを目的とする。2023年度は新たな18名の研究参加同意が得られ、内訳は男性9名、女性9名であった。全例が境界域~重度のIDを呈し、主な症状はID/発達遅滞9名、てんかん5名、ASD4名であった。今年度は1)マイクロアレイ染色体解析および未施行例に染色体G分染法(いずれも保険診療)2)次世代シークエンス解析(パネル解析)、3)一部の未診断患者に対し研究協力者によるトリオ全エクソーム解析又は全ゲノム解析の順で解析を進めた。2014年4月から2024年3月の間の研究参加者計299名中(解析中のため結果が出ていない症例あり)、135名(45.1%)において染色体異常または病的意義のある、または病的意義のある可能性が高いゲノムコピー数バリアントもしくは遺伝子バリアントが同定され、遺伝学的確定診断に至った。また本研究の成果としてWiedemann-Steiner症候群の症例報告を国内外2学会でポスター発表した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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