研究課題
基盤研究(C)
B型肝組織のRNA-seqデータを用いて、遺伝子発現変動について網羅的解析を行ったところ、癌部にてMICA, MICBの発現上昇が認められた。また、肝癌組織ではプロモーター領域の脱メチル化が多く認められ、immune responseに関連する遺伝子に対するDNAメチル化異常が肝発癌に関与していることが示唆された。次に、完全長、N端欠如のMICAを肝癌細胞株内で発現させ、培養上清中のMICAを定量したところ、N端欠如のMICAはほとんど検出されず、完全長のMICAとは細胞中の動態が異なっていることが示唆された。
B型肝炎ウイルス(HBV)感染による肝発癌、すなわちB型肝癌に対する有効な治療法の開発は、肝臓病学において、克服すべき最重要課題の1つである。本研究により、B型肝癌組織において、NKG2Dリガンドに属するMICA, MICBの発現上昇が認められ、「NKG2Dリガンド-NK細胞」を含む自然免疫システムに属する遺伝子群の発現変動が起こっていることが明らかとなった。このことは、「NKG2Dリガンド-NK細胞」という自然免疫システムを強化することでB型肝癌を制御する、すなわちB型肝癌に対する新規の免疫療法の開発につながる重要な知見と考えられる。
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Cancer Immunol Immunother
巻: 70 号: 1 ページ: 203-213
10.1007/s00262-020-02660-2