研究課題
基盤研究(C)
機能性胃腸疾患の原因には生活上のストレスなどの心理的・社会的要因が病態に影響を及ぼしていると言われている。今回,出生直後に母子間の接触が断つことで母子分離ストレスを与えたラットでは,成長後の機械刺激に対する胃知覚過敏を示し,さらに十二指腸粘膜内の好酸球数が正常と比較して有意に多いことを明らかにした。さらに,母子分離ストレスラットにデキサメサゾンを前投与することにより,十二指腸粘膜内の好酸球浸潤を抑制すると,胃知覚過敏が抑制されることも明らかにした。以上の結果により,母子分離ストレス動物モデルは,機能性ディスペプシアの患者に類似した胃知覚過敏を示す有用な病態モデルであると考える。
今回の研究成果により,生直後のストレスが引き金となり,成長後に胃十二指腸粘膜内での好酸球増加を主とする微小炎症を引き起こすこと,その結果として胃十二指腸粘膜の知覚過敏に結びついている可能性が示唆された。このことは,機能性消化管疾患患者の症状発現メカニズムの病態解明に結びつき新たな治療ターゲットの発見に結びつくものと考える。
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American Journal of Physiology-Gastrointestinal and Liver Physiology
巻: 320 号: 2 ページ: G206-G216
10.1152/ajpgi.00313.2020