研究課題
基盤研究(C)
本研究では、左心不全における肺高血圧症の遺伝学的リスク因子および非侵襲的リスク層別化を検討しました。遺伝学的リスクについては、肺高血圧症を呈する左心不全症例において、肺高血圧に関連する遺伝子変異がある症例は、変異がない症例に比べ予後が悪いことを見出しました。非侵襲的なリスク層別化については、左室駆出率の保たれた心不全入院症例において検討を行い、肺血管抵抗の上昇を伴う肺高血圧の病態が退院後1年の死亡や心不全入院に関係しており、心エコー図指標の中で、左室径48mm以下、E/e'16.5以上をカットオフ値とすることで、ハイリスク症例を高い確率で同定できることを示しました。
現在まで、肺高血圧および右心不全を発症した心不全に対する確立した治療法はありませんが、症例報告レベルでは、肺血管拡張薬が奏功した報告もあることから、適切な層別化により肺血管拡張薬などの既存の薬剤の恩恵を得られる症例が存在する可能性も考えられます。また、実臨床においてハイリスク症例を早期に同定できれば、予後悪化の連鎖を食い止めるために肺動脈や右室機能不全をターゲットとした重症化予防のための新規治療戦略の確立につながることが期待されます。
すべて 2021 2020
すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)