研究課題
基盤研究(C)
間葉系幹細胞由来液性因子STC1の代謝への影響を、ブレオマイシン肺障害動物に対するSTC1経気道投与モデル等を用いて解析した。STC1はTCA、β酸化、メチオニン、グルタチオン代謝に影響を与えた。これはSTC1の翻訳後修飾への影響を示唆した。ヒストン、SOCS1、SMAD7へのSTC1の翻訳後修飾への影響を検討したところ、SOCS1・SMAD7脱メチル化、ヒストン・SMAD7アセチル化を誘導した。さらにSOCS1によるJAK/STAT経路抑制、SMAD7によるTGFβ/SMAD経路抑制を明らかにした。以上より、STC1がCOVID19、自己免疫疾患、線維性疾患の治療に使用できる可能性を示した。
STC1によるの難病治療への可能性を示したことが本研究成果の意義である。STC1経気道投与の特徴は、①細胞代謝と翻訳後修飾の相互関連に着目した新規作用機序、②生体物質であり、経気道投与が可能であることにより得られる高い安全性、③HEK293細胞を利用したリコンビナントタンパクとして、安価、簡便に得ることが可能であること、等である。用途として、①新型コロナウイルス感染症の感染予防薬・重症化予防及び治療、②JAK/STATが関連する関節リウマチ等の自己免疫疾患に対する治療、③TGFβ/SMADが関連する特発性肺線維症等の線維性疾患に対する治療などが考えられる。本研究に関して特許を出願中である。
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